漁場改善

令和6年12月定例会
1.豊かな海の育成について
(3)漁場改善の取組
◆29番(岡崎源太朗議員)
 漁場改善の取組ということで、海中の栄養不足を補うために下水処理場緩和運転を、水質改善のために、今年はカキ殻を乾燥させて粉砕してカキいかだの下の海底にまいて、その後、耕うんをされたようなんですが、下水処理緩和運転とカキ殻耕うんの効果はどうだったんでしょうか。関連でございますので、アとイ併せて御答弁お願いします。

◎農林水産担当部長(久保隆弘) まず、広浄化センターにおける緩和運転でございますけれども、令和4年度に呉市と広島大学で共同研究を立ち上げ、事前調査を実施した後、令和5年度の下半期に緩和運転の実施を始めたところでございます。なお、本年度も既に10月から緩和運転を開始しているところでございます。
 議員お尋ねの効果でございますけれども、緩和運転をする前の令和4年度と比較して、放流水の中の窒素濃度を65%高めて放流することができ、併せて広湾内への拡散状態も確認できたところでございます。また、令和6年3月に広島県が実施した広湾内のカキの調査において、緩和運転をしていない他の海域に比べ、カキの実入りがよくなる傾向が見られたところでございます。
 次に、カキ殻を活用した海底耕うんでございますけれども、本年9月に、安浦海域のカキ養殖場にて実施をしたところでございまして、面積は50ヘクタール、事業費は500万円で、この財源の一部として県補助2分の1を充当することとしております。
 議員お尋ねの効果でございますけれども、実施後間もないことから、まだ効果を把握できる段階ではございませんけれども、広島大学が別途行った調査研究により、カキ殻を活用した耕うんの効果が確認されており、本市におきましても、海底の状態の改善でありますとか、カキの餌となるプランクトンの増加が期待できるものと考えているところでございます。
 本市といたしましては、令和7年度以降も、広浄化センターにおける緩和運転でありますとかカキ殻を活用した海底耕うんを継続し、豊かな海の再生に取り組んでまいります。

◆29番(岡崎源太朗議員) 御丁寧な答弁ありがとうございます。また、取組にも感謝を申し上げます。
 カキ殻には、猛毒の硫化水素を無毒化する効果があります。ありがたいことでございます。カキ殻が有効利用されることはすばらしい取組です。ただカキ業者が、独自でカキ殻を乾燥させて粉砕してまくのは許可されておりません。今は処理業者を通さないといけないことになっております。処理業者を通す手間がかかることが少し残念でございます。




◆29番(岡崎源太朗議員)
 地球温暖化の影響で海水面温度が上がりまして、海底の藻が夏を越せないという状況がございます。藻場は、小さな魚の隠れ家になったり、魚とかイカの産卵場所になっております。藻場の減少が魚が減少した大きな原因だと思います。
 呉市では、第3次環境基本計画の基本方針の一つとして、「恵み豊かな里山・里海と歩むまち」を掲げ、具体的な取組といたしまして、自然海岸の保全や漁場機能の回復、漁場再生能力の増強を図るため、ごみや海底堆積物の収集処理を行うとともに、呉市農水産業振興ビジョンに、藻場等を造成して漁場環境の維持、修復に努め、生態系に配慮した漁業を支援するとしております。
 ここで質問いたします。
 呉市農水産振興ビジョンにのっとって、藻場の育成に取り組んではいかがでしょうか、お尋ねいたします。

◎農林水産担当部長(久保隆弘) 藻場についてでございますけれども、本市では、平成20年度より造成を開始し、令和元年度からは広島県の直轄事業を活用しており、これまでに合計26か所の造成を行ってきたところでございます。
 具体的な藻場の造成内容でございますけれども、比較的浅いところに自然石を置いて海藻を付着させ、幼稚魚の育成の場となる環境をつくるとともに、自然石の沖側に比較的背の低い魚礁等を設置し隠れ家とすることで、魚の育ちやすい環境をつくっているところでございます。
 なお、令和5年度は倉橋町海域で造成を実施しており、令和6年度は下蒲刈町海域での測量調査を行っているところでございます。
 今後とも、藻場の造成を継続することで、漁場における生産力の向上を図ってまいりたいと考えております。

◆29番(岡崎源太朗議員) 県の事業で、ワカメなどの海藻事業をされておられるようですが、藻場の育成には、水産庁の補助事業として、水産多面的機能発揮対策交付金というのがございます。環境省にも、実は同様の藻場育成に対して里海づくりの補助制度がございます。水産庁は水産資源確保で、環境省は豊かな里海づくり、沿岸海域環境再生による生物多様性の確保が目的です。水産多面的機能発揮対策交付金は、令和7年度まででございます。
 ここで質問いたします。
 藻場造成のために、国の支援として、水産庁あるいは環境省から補助を受けてはどうかと御提案申し上げますがいかがでしょうか、お尋ねいたします。

◎農林水産担当部長(久保隆弘) ただいま議員から御提案のありました2つの補助事業でございますけれども、漁業者を含む地域団体が行う藻場の保全などの活動に対して補助されるものでございます。したがいまして、今後、地域自らの意識が醸成され、主体的に保全活動を行うという状況が整いましたら、御提案のございました補助事業を活用していきたいと考えております。

◆29番(岡崎源太朗議員) 「カイソウ」は2種類ございます。海に藻と書く「海藻」と、海に草と書く「海草」でございます。海に藻はワカメや昆布で、これはコンクリートの土台にロープをくくりつけて種をつけたものを船から落とします。ナマコにすぐに食べられないようにプラスチックの囲いがあったりしています。これは一般にする事業でございます。ところが、海に草のアマモは少々手間がかかります。アマモは種による繁殖と根が伸びて繁殖をいたしますが、先ほど言いました海水温の上昇で、根が夏を越せないという状況でございます。なので、アマモ繁殖のためには、まず花枝という種のついたアマモの枝を集めまして、しばらく海水につけて、そこから種を取り出します。種から苗を作ります。種や苗は、そのまま海から投げたのではうまく定着しないので、紙粘土の板に種か苗を貼り付けて、ダイバーに海底に1個1個埋めてもらいます。紙粘土に貼り付ける作業を児童生徒に手伝ってもらうという自治体もございます。星形ですとか魚の形をした思い思いの紙粘土板に種とか苗を貼り付けます。大変地道な作業でございますが、効果はあります。児童生徒の教育になります。アマモ育成事業が開始されたときには、農林水産課と環境部と教育委員会の御協力をよろしくお願いいたします。



◆29番(岡崎源太朗議員)
 次に、呉市・広島大学Town&Gown構想への組込みについて質問します。
 藻場の造成は、行政機関や教育機関、関係団体、企業が地域の課題を解決する呉市・広島大学Town&Gown構想の趣旨と合致しております。呉市・広島大学Town&Gown構想で豊かな里海づくりを研究課題の一つとして取り上げていただけないものでしょうか、お尋ねいたします。

◎企画部長(倉員伸明) 呉市・広島大学Town&Gown構想では、呉市が有する行政資源や豊かな地域資源と、広島大学、海上保安大学校及び笹川平和財団が有する教育、研究人材、知見、国際ネットワーク等の資源を融合させ、新たな人材や企業を国内外から呉市に呼び込み、アジアにおける海洋海事分野の新たな知の拠点、海洋文化都市くれの実現を目指し、7つの項目に取り組むこととしております。その7つの項目の一つとして、瀬戸内海の自然を生かしたグリーントランスフォーメーション、GXの推進を掲げており、その内容は、カーボンニュートラルポートや次世代燃料船などの取組のほか、議員御提案の藻場の育成をはじめとしたブルーカーボン生態系の取組も含まれております。
 現時点で、藻場の育成に関する具体的な取組はございませんが、今後、広島大学の持つ知見と企業・団体のニーズや技術などとのマッチングにより、新たなイノベーションにつながる取組が行われる仕組みづくりを進め、呉市・広島大学Town&Gown構想の推進に取り組んでいきたいと考えております。

◆29番(岡崎源太朗議員) ありがとうございます。地球を生物がすめるような環境にしたのは海の藻だそうでございます。人間の都合で海岸線をコンクリートにするのは地球にダメージを与えます。どうか専門家集団で藻場の再生を議論していただきまして、豊かな海の再生を願います。