いじめ
平成24年9月誠志会代表質問
1.呉市の教育行政の現状について
(1)大津市のいじめ問題を受けて
*****質問と答弁*****
岡崎源太朗議員 私のほうから、誠志会を代表して質問させていただきます。
まず最初に、呉市の教育行政についてお聞きいたします。
7月以降、滋賀県大津市におきまして、中学校生徒がいじめによってみずからの命を絶つ痛ましい事件がテレビや新聞報道で取り上げられ、同時に教育委員会制度そのものがクローズアップされています。特に大津市の問題は、事件前後の学校、教育委員会及び市の対応が適切であったのかと深く疑問に思うものであります。この生徒は学校に対して幾度もSOSを発信しておりましたが、学校はこれを重く受けとめず、おざなりな調査によっていじめはないと判断しておりました。学校が受けとめてくれないため、保護者は教育委員会にもたびたび相談されたのではないかと思います。しかし、学校と教育委員会の連携が働かず放置された結果が、みずから命を絶つことに結びついたのであります。事件後においても学校は2回もアンケート調査を実施し、1回目のアンケート調査は公表いたしましたが、2回目は実施していないと強弁して隠蔽しておりました。教育委員会の職務権限として、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条第5号」では生徒指導に関することが規定されておりますが、教育委員会はみずからの権限を発揮せず放棄したものとしか思えません。また、教育委員会と市の見解も異なっており、一体となっていないように見受けられました。
そこで、小村市長にお伺いします。
呉市の場合、同様の事案が生起したとき、市と教育委員会の連携についてどのようにあるべきと考えられますでしょうか、お尋ねします。
◎市長(小村和年) 10月の大津市の中学生の事件を初め、いじめが背景にあると言われる生徒の自殺が全国に発生をしておることは、本当に痛ましい、特に親の気持ちになりますと、本当悲しく残念なことだと思っております。特に今大津市の事件に関しましては、いじめと自殺の因果関係についても、これは警察まで入り、大がかりな話になっておりますけれども、こういうことの再び起こらないように、一日も早くその実態が解明をされて、今日のようなことにならないようにということを祈っておるところでございます。
本市としましては、次の時代を担う子どもたちが、豊かな人間関係、人間という言葉はまさに人の間と書く、1人じゃ生きていけない、この関係が非常に大切なんだということ、そういう中で希望を持って巣立つことができるように、子育てを支える環境でありますとか、あるいは教育環境を整備するとともに、豊かな心を育む教育をしていこうということでとにかく本物の体験をさせようとか、いろんな取り組みをしております。次の時代をつくり育てていくことは、これはそうはいっても家庭にかわれるものは、どんなに周りが協力してもなかなかないですよね。したがって、本来を言えば家庭が一義的なもんだと思いますけれども、家庭においても学校においても、あるいは社会全体においても、これは大変厳粛な営みだと、そういう認識をしておるところでございます。
本題といいますか、大津市の事件、これは原因その他はこれからまたいろいろ解明されると思います。私の場合は、新聞やテレビのニュースで見るしかニュースソースはありませんけれども、やはり教育委員会と市当局の間が、はたから見てても少し奇怪だなあという思いがしながら見ております。教育委員は市長が議会の同意を得て任命をするものでありますから、この関係は、私は政治に携わる者が直接教育の中身に入っていくことは、これは本当に御法度だと思って、私自身はそこのところは常に自分の分限っていうことを思っておりますけれども、ここに信頼関係がないことは普通はあり得ないことなんですけれども。よそはともかくとして、呉市の場合は私はもう本当に信頼をし、その関係は本当に信頼関係厚くて一枚岩だという思いを持っておりまして、何があってもこういうことはないと思っております。本市において万一、これは本当に市民生活そのものですから、子どもたちを育てていくところは。どういう事件が起こるかわかりませんけれども、そういうぐあいに、これ一義的には、学校で起こったこと、生徒に絡むことは教育委員会が対応することになります。実態であるとか原因究明、あるいは再発防止に当たっては幅広い外部の専門家の力をおかりすることもあると思いますし、また関係機関との連携も踏まえて、さまざまな観点から検討する必要があります。そういうことで、当然のことながら市長部局において、教育委員会のほうからこういうことをしてほしいということがあれば、これは連携を密にして100%バックアップするのが私のスタンスですので、今後ともそこはしっかり連携をしながらやっていきたいと思いますんで、よろしくお願いします。
岡崎源太朗議員 大変恐縮なんですが長谷川教育長にも、さっきと同じ質問について御答弁などお願いいたします。
それともう一つ、呉市教育委員会の危機管理体制は、今までとその後で何か変わりましたでしょうか。お願いいたします。
教育長(長谷川晃) 大津市の事件に関しましては、先般申し上げましたとおり、マスコミで学校の体制とか教育委員会の体制とか、いろんなことが報じられておりますけれども、マスコミで知る範囲のことでありますけれども、現実にいじめによって一人の子どもの命が絶たれたことは本当にざんきにたえない。これは二度とあってはならんと思っております。一日も早く実態が解明される、そのことを参考にしながら、全国の教育委員会、学校現場が取り組みを進めていくべきだと考えております。
それと、呉市と教育委員会との関係でございますけれども、日ごろからいじめ問題に限らず、子どもたちの頑張りとか、あるいは学校の頑張り、あるいは体力、学力、そういったことも含めてさまざまな情報は市長部局と共有しており、連携しておるところであります。仮に呉市におきまして大津市と同じ状況が生まれる場合には、当然市長部局とも情報共有を図りながら、さらに学校、家庭、それから必要であれば外部関係機関と連携しながら解決していきたいと考えております。
次に、この事件を受けた時点で教育委員会として管理体制は変わったかと、危機管理についてとありますが、今まで全国に先駆けて呉市は、いじめ撲滅キャンペーンを年に2回1カ月単位でやっておりました。これは、子ども同士がお互いが、いじめはやめようということで生徒会の活動として、あるいは児童会の活動としてやっておる。この効果は出ておりますけれども、今回の事件を受けて、どうも学校の中だけの情報では、あれでも漏れていることがあるんじゃないかと。あるいは子どもが親に言って、あの子は実はいじめられとるんだと。それを聞いた親が、ああそうねというところでとまってしまって、情報が外に出ないことがある。そういったことから、情報をできるだけ早くキャッチしようということで、保護者も入ってもらって、それから地域の方も入ってもらって、子どもと先生とでその学校に応じた一つのプロジェクトチームをつくって、お互いが情報を交換し合う、あるいは共有し合う体制をつくろうということで、いじめ撲滅プロジェクトチームを8月中に立ち上げまして、この9月、2学期からスタートさせているところであります。これは、今度9月29日土曜日に、全部の学校、それから高等学校も集まりまして決起集会を行う予定としております。
以上でございます。
P岡崎源太朗議員 教育委員任命者としての立場から市長に、教育行政事務方のトップで教育委員の一員の立場で教育長に御答弁いただきました。まことにありがとうございます。双方が協力していじめ対策に対応してくださるということで、心強く思います。
また、今回の問題を受けまして、その会議について、活発な議論が行われずに事務局の提示する案を追認するだけとか、会議が形骸化しているなど、マスコミの論調も批判的でございます。ここで呉市の実態をみずから評価すればどうなるのでしょうか、お答えください。
教育総務部長(濱田俊文) 教育委員会の自己の評価というお尋ねでございますけれども、教育委員は、教育委員会会議、これは毎月定例会を1回実施しております。また、必要に応じて臨時会を開催をいたしておりますが、その会議に出まして、いろんな意見、議案に対する審議を行っていただいております。また、その教育委員会会議におきましては、議案だけではなく報告案件でありますとか、トピックスと申しまして時期時期のいろんな話題や行事や課題について情報提供を行い、教育委員あるいは事務局との意見交換を実施しております。こうした教育委員の活動は教育委員会会議のみだけではなくて、いろんな公式あるいは非公式の行事、学校訪問でありますとか、あるいは県内の教育委員会の研修会でありますとか、そういったものにも参加をされておられますし、また本市では自主的に各教育委員がお金を積み立てられまして、毎年、他都市のほうへ研修にも自主的にも参られているということで、教育委員の職責は十分果たしておられるものと認識をいたしております。しかしながら、その一方でこうした活動状況や、あるいは教育委員の氏名、経歴とか、なかなか具体的にホームページに掲示されなくて、その活動が十分市民に伝わってないといった点は一つの課題であると認識をいたしております。
以上でございます。
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◆15番(岡崎源太朗議員) 行政と教育が情報を共有するとともに、プロジェクトチームを立ち上げて取り組んでいただく姿を大変頼もしく思います。
いじめに関しては、昨日の答弁もございまして、今も御答弁いただきまして、大変すばらしい対策が行われとることで本当に十分であろうと思います。ただ、老婆心ながら、ちょっとこんな考え方もありますよということで一言言わせていただきますと、大津市の例でもありますように、クラスでいじめが発覚いたしますと、何となくクラスの恥のように、学校の恥のように思われる雰囲気があって、隠そうとする力がどうしても働いてしまいます。しかし、いじめはどこでも起こり得ることではないでしょうか。それならば、いじめを発見した先生、学校は、逆に評価されるべきではないかと思います。もしいじめを発見した先生が勤務優秀として評価されるとしたら、先生はいじめ発見に躍起になってくれるでしょう。また、児童生徒に相互監視や通報制度をお願いするのではないでしょうか。なれた先生は、挨拶したときの生徒の目でいじめがあるかどうかわかるそうでございます。ぜひいじめ発生ゼロを目指すのではなく、いじめ発見と解決数を競われるよう、またその環境をつくっていただきますよう要望いたします。これには予算はかかりません。