海軍遺産の活用




令和2年12月代表質問
4.海軍遺産の活用について
(1)青山クラブ及び桜松舘の活用
(2)海事博物館収蔵資料について


4.海軍遺産の活用について
***(1)青山クラブ及び桜松舘の活用の整備
【質問】最期に、青山クラブ及び桜松舘は今後どのように整備するのか教えて下さい。

【答弁】 青山クラブ・桜松館の活用につきましては,昨年度,ニーズ調査を実施し,その結果につきましては,本年6月に行政報告させていただいております。
 その内容でございますが,活用方法に関しましては,「カフェl喫茶店」「一般レストラン」「呉の歴史展示施設」「ホテル」「音楽ホール」など,市民から観光客までの幅広い利用を目的としたものとなりました。
 建物の使用範囲につきましては,「現在の建物を全部使用」「現在の建物一部使用(残り解体撤去)」「現在の建物の外観のみ使用」「現在の建物は全部解体して新築」まで4つに意見が分かれる結果となりました。
 また,事業化の可能性を探るために行った民間事業者への調査では,事業者が自ら施設を整備・運営する可能性は極めて低く,活用に当たっては,呉市が公共施設として整備・運営する必要があるという結果となりました。
 なお,現在の状況といたしましては,新型コロナウイルス感染症の拡大や日本製鉄株式会社瀬戸内製鉄所呉地区の休止発表など,青山クラブ等の活用方法や整備経営方針をまとめるに際して考慮しなければならない新たな情勢の変化も生じています。
 今後につきましては,宝町から幸町エリアにおける回遊性の向上を図る観点からも、呉駅周辺地域総合開発の進捗状況や大和ミュージアムのリニューアルの検討状況によっては,青山クラブ等の活用方法を検討する前提が変わる可能性もありますので、もう少し時間を掛けて検討してまいりたいと考えております。

***(2)海事博物館収蔵資料について
【質問】【質問】海事博物館が収蔵している資料は23万点あります。海事博物館には2千点しか展示できません。
海事博物館は技術の博物館なので、たとえば「恩賜のたばこ」のような技術と関係ない資料は展示できないと思われます。
残りの資料は下士官兵集会所(青山クラブ)で展示してはどうでしょうか。

【答弁】大和ミュージアムは,令和2年3月末時点で約23万点の資料を所蔵しておりますが,そのほとんど(約22万点)は,写真や図面その他の文献資料等でございます。
 これらの資料の多くは,展示には不向きなものもありますが,学術的には非常に価値が高いため,現在,デジタル化を進めており,4階のライブラリーで順次データを公開しているところでございます。
 また,大和ミュージアムの常設展では,約2千点の資料を展示しておりますが,毎年,展示の一部更新を行うとともに,来館者の関心が高いと思われる資料につきましては,テーマを設定して企画展等で公開しております。
 なお,所蔵資料の保存及び展示方準等につきましては,現在,大和ミユージアムのリニューアルの検討において協議しておりますので,青山クラブの活用を含め,その中で検討してまいります。

【提案】烏小島の上、市の串山駐車場横にに海軍の串山地下工場跡があります。今は入り口が封鎖されていますが、中は体育館ほどの広さがあるそうです。戦争の生き証人です。隣に防空監視廠、上に機関銃座・工廠神社があります。何よりの平和教育になります。他市にはありません。宮原第一・第二地下工場もあります。貴重な資料を眠らせていてはもったいないです。下士官兵集会所(青山クラブ)か地下工場跡に展示下さいますようご提案申しあげます。



平成29年度予算総体質問
◆17番(岡崎源太朗議員)  最後、近代遺産の活用についてお尋ねいたします。
 昨日も質問が出ましたが、青山クラブは下士官兵集会所です。この場所は軍と民を分ける場所でした。戦地に向かう夫を、息子を最後に見送った場所です。眼鏡橋、下士官兵集会所、番兵塔、水雷団鉄道の間を、夫の姿が見えなくなるまで見送ったことと思われます。写真撮影はできないので、情景を泣きながら目に焼きつけたことと思われます。今、思い出の下士官兵集会所が壊されようとしております。平原水源池の海軍の桜も撤去されました。涙と思い出の場所を平気で撤去するところに、呉市は遺族の心と思い出を鴻毛ほどしか思っていないことがわかります。
 ここで質問します。
 せめて遺族の思い出の一部、表面、角の一部だけでも残せないのか、お尋ねいたします。

◎企画部長(近藤昭博) 本件につきましては、昨日来の議会でも御答弁させていただきましたように、青山クラブにつきまして映画のワンシーンに登場するなど市内外からファンが訪れていることは承知しております。また、歴史的な経緯についても承知しているつもりでございます。しかしながら、繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、防衛庁が実施した建物の老朽度や耐震状況を調査した改修診断調査によりますと、青山クラブの建物は老朽化が著しく進んでいることに加えまして、保存、活用する場合には相当大規模な改修が必要とされてまいります。相当な費用がかかることも推計されまして、こうしたことから、青山クラブの全体の活用は大変厳しいものがあると考えております。

◆17番(岡崎源太朗議員) 以前、青山クラブに穴をあけようとしたらドリルの刃が折れたということもありました。耐震化は図れませんが、かなり丈夫な建物だと思います。青山クラブは、明治36年に呉海軍下士卒集会所として設置されました。特に珍しいのは、地下の明かり取りのためのガラスブロックです。現在の建物は昭和11年に建てられたものです。昭和5年に名古屋の汎太平洋博覧会に日本で初めてガラスブロックが使われました。国産で初めて使われたのが昭和12年です。歴史が浅く、当時としては大変珍しいものだったそうでございます。せめてガラスブロックだけでも残していただきたいと思います。はつるときに教えていただいたら拾いに行きます。
 次に、市内の近代化遺産の現状と活用についてお尋ねします。
 今回、再検討される呉水雷団鉄道跡は砲弾を運んできた鉄道でした。朝鮮戦争の砲弾もこの鉄道で運ばれました。しかし、戦艦「大和」の砲弾は重たいので、ここでは運んでおりません。客車もついていて女性は乗ることができたそうでございます。女性専用鉄道があった珍しい鉄道でございますので、また考慮の一つに入れていただければと思います。
 日本遺産は17が指定されました。また、日本遺産ほどではありませんが、歴史を知る上で貴重な近代化遺産がございます。全てが本物であり、全てが歴史の貴重な財産でございます。例えば、先ほど言いました軍と民を分けた眼鏡橋、まだ地下に見ることができます。工廠神社、防空監視所など呉市ならではのものがございます。日本各地に神社がございますが、海軍工廠がつくった神社というのは珍しいのではないでしょうか。防空監視所も見張るだけのものは壁が分厚いんですが、機関砲を据える監視所は入り口が斜めにカットしてあるものもあります。万人受けするものではありませんが、歴史を知る上で観光に歴史教育に活用できるのではないかと思います。
 ここで、近代化遺産の現状と活用というのを教えてください。よろしくお願いします。

◎文化スポーツ部長(上東広海) 呉市の近代化遺産の現状と活用についてお答えいたします。
 平成10年に広島県教育委員会が県内の近代化遺産の調査をされております。そして、その結果を広島県の近代化遺産という報告書にまとめられております。それによりますと、呉市内には明治、大正期に築造された建築物や構造物が124件ございまして、124件の近代化遺産がございます。ただ、その124件の中には民間が所有するものも数多くあることや、県の行った調査から20年近く経過していることから、私どもといたしましては現状をよく調査した上で呉市の近代化遺産として取りまとめたいと考えており、日本遺産とともに情報発信してまいりたいと考えているところでございます。

◆17番(岡崎源太朗議員) 宮原第一地下工場跡は、幅370メートル、奥行き120メートルございまして、大和ミュージアムに展示できない22万点の資料の一部を展示してはどうかと思います。広第11海軍航空廠長郷地下工場は732メートルあります。冠崎には人間魚雷「回天」の秘密地下工場がございます。近代化遺産は展示施設ではないので、各地区に点在をしております。ネット上の地図にマークがないとなかなかたどり着けません。観光客や研究家が利用できるようにネットでの活用をお考えいただきたく御提案申し上げます。