古代遺産の保存と広報
令和6年9月岡ア源太熨纒\質問答弁
◆29番(岡崎源太朗議員)
次に、呉市文化財保存活用地域計画についてお尋ねいたします。
本年7月に文化庁の認定を受けた呉市文化財保存活用地域計画の概要についてお尋ねいたします。
◎文化スポーツ部長(多田博) 呉市文化財保存活用地域計画の概要についてでございますけれども、まず、文化財保存活用地域計画とは、市町村におけます文化財の保存と活用に関する総合的な計画でございまして、本市における文化財行政の中長期の方向性を示すマスタープランと、短期に実施する具体的な事業を記載するアクションプランの両方の役割を担うものでございます。この計画の作成によりまして、住民、民間団体、文化財部局、庁内関係部局など、地域総がかりで文化財を守り、生かし、伝える体制の構築を図り、文化財の継承につなげていくことが期待をされております。
次に、計画作成の背景、目的でございます。
人口減少や少子高齢化、過疎化の進行等により、各地域では後継者不足や維持管理の負担の増大による歴史的建造物の減少や空き家の増加、また地域活力の低下や担い手不足による伝統技術や祭礼行事の消失などの状況が一層顕在化している現状がございます。このような背景から、本市の歴史文化の特徴や保存活用の在り方を地域社会全体で共有し、文化財をまちづくりの核として機能させ、活力ある、住みよい未来の呉市を実現する原動力をつくることを目的に、この計画を作成したところでございます。
計画の内容でございますが、この計画では、多様な人々の参画を促しながら持続的に文化財を継承できるよう、文化財を調べる、文化財を守る、文化財を生かす、文化財を伝えるという4つの基本方針を定め、この方針に基づき、29の具体的な取組を掲載しております。主な取組といたしましては、市内文化財の悉皆調査をはじめ、無形文化財に係る継承者育成事業、展示施設における企画展示や関連イベント、学校や地域における普及啓発事業などを実施していく予定としております。
また、計画では、文化財の一体的な保存活用を推進するため、本市の歴史文化の特徴から、「海に祈る多様な信仰と地域に根付いた暮らし」や「海の往来とともに栄えた産業と町並み」など、7つのテーマ・ストーリーを設定しております。今後は、これらのテーマに関連した保存活用策の検討や、継承等の活動を行う市民団体等の取組への支援についても検討していきたいと考えているところでございます。
◆29番(岡崎源太朗議員) 大変ありがとうございました。倉橋島に13の古墳があります。そのうち一つだけ百済の方向を向いている古墳がありまして、百済の王家の古墳ではないかと言われております。岩屋古墳です。同じ構造の横穴式片袖石室古墳は愛媛県三島神社にあります。系列の今治市の大三島大山祇神社は、百済から来た海の神が祭られております。百済が新羅に敗れて船で逃げてきて、倉橋島から大三島まで住み着いたのではないかと思われます。島は風の向きで反対側に船を避難させることができるからだと思います。船を大量に造って、朝鮮半島を奪回しようと計画しました。船を大量に造ったことから、倉橋島は日本一の造船のまちとなりました。もともと日本の船というのは戦闘艦で、早く進むために細長い船だったんですが、百済は人輸送するために横に広がった、私を船にしたような格好の構造でございます。これが「大和」の構造につながったとも言われております。岩屋古墳を整備すれば、百済の子孫の方大勢が呉市と今治市に訪れられると思います。
また、神武天皇は、安芸郡府中町埃宮神社から岡山県の高嶋宮に向かわれる際に、呉市にお立ち寄りになられました。天応の岩場にお立ちになられたことから、天応の地名になったそうでございます。その後、倉橋の桂浜神社の上と蒲刈にお立ち寄りになられたそうです。このたび、クレアライン工事に伴いまして、神武天皇がお立ち寄りになられました天応社に上る真っすぐで狭くて急な階段が、今度は緩やかなスロープになって、駐車場ではありませんが車を一時的に止められる場所ができる計画がございます。いずれ神武天皇お立ち寄りの地として、天応は観光名所になるかも分かりません。神武天皇の日本遺産申請の際に、宮原11丁目の八咫烏神社も対象となりました。
ここで質問いたします。
倉橋島にある岩屋古墳や、神武天皇が立ち寄られたという天応社などの古代遺産について、保存整備し、看板等を設置してはいかがか、お尋ねいたします。
◎文化スポーツ部長(多田博) 本市におけます古代遺産の状況についてお答えをさせていただきます。
阿賀地区の情島旧石器時代遺跡の存在からも、呉市には2万年以上前から人々が暮らしていたことが分かっておりまして、市内には、倉橋地区の岩屋古墳をはじめ、島嶼部を中心に古墳や遺跡等のいわゆる古代遺産が、未指定文化財を含め、約80件確認をされております。こうした古代遺産は、かつて大陸と陸続きであった瀬戸内海の恵みを生かしたなりわいにより、人々の暮らしが定着し、海から陸へと広がっていく呉市の成り立ちを現在に伝える、本市の歴史文化の特徴の一つでございまして、呉市文化財保存活用地域計画におきましても、7つのテーマ・ストーリーの一つに、「海の恵みを求め根付いた原始の営み」として位置づけているところでございます。この計画におきましては、国、県、市の指定等文化財のほか、各地域で守られてきた未指定の文化財につきましても、文化財の所有者や呉市だけでなく、市民や地域、事業者等と連携しながら保存活用を推進していくこととしております。
議員御質問の古代遺産の保存と広報につきましては、例えば岩屋古墳などの指定文化財につきましては、今後実施してまいります現状調査を踏まえ、文化財カルテを整備し、情報発信や説明板の設置に取り組むとともに、古墳の保護や維持管理等についても、市民や地域と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。また、天応社など、地域で大切に守られてきた未指定の文化財につきましても、今後、調査研究に基づく価値づけを行っていく中で、情報発信や市民団体等による保存活用に向けた取組の支援を検討してまいります。