レイマンコントロール
平成24年9月14日 代表質問
岡崎源太朗議員 次に、教育委員システムについて質問いたします。
今回の大津市の問題を思うとき、現代社会における教育行政の限界と申しましょうか、戦後の教育委員会制度のあり方に一石を投じていると思います。教育委員会制度には、市長からの独立性、合議制、住民による意思決定──レイマンコントロールという三つの特性があります。教育委員は有識者ではありますが、教育行政に関しては教育長以外は教育の素人で構成するようになっています。レイマンコントロールとは、こうした素人、住民、レイマンが、専門的な行政官で構成される事務局を指揮監督する仕組みです。これは、戦前の日本教育は間違っていたとして、アメリカGHQの指導により設置された制度です。特定の思想に左右されない政治的中立性の確保や継続性、安定性の確保、広く地域住民の意向を反映した教育行政を実現するために、教育の専門家ではなく素人により構成されることになりました。しかしながら、この制度は形骸化していることが指摘されており、大阪府では教育の専門家を教育委員に選任いたしました。このような現状を踏まえて、呉市において今後教育委員の選任方法についてどのように考えられますでしょうか、お願いします。
総務企画部長(明岳周作) 教育委員の選任方法についてでございます。「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の第4条に規定、明記がされております。教育委員は、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者のうちから、議会の同意を得て、市長が任命するよう規定をされております。また、教育委員会は、大局的な立場に立って政治的中立性を保持しながら、教育行政の重要事項や基本方針などを決定する職務でございます。したがいまして、教育委員には、学校教育のみならず社会教育を含めた教育全般、さらには社会全般に対し豊かな見識と幅広い視野、すぐれた能力を持った人材が必要とされているものと認識をいたしております。こうした認識のもと、これまでも教育委員の人選を行い、議会の御同意をいただいてまいりました。今後とも幅広い分野から有用な人材をバランスよく選任をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
岡崎源太朗議員 その教育委員についてですが、非常勤であって、教育に関しては素人でありながら、教育委員は呉市の教育行政の方向性を決める重要な職務を担っていただいております。そこで、教育委員は呉市の教育の隅々まで知っておく必要があると考えます。教育委員会会議の開催頻度状況、情報公開、あるいは市民への情報提供はどのようにされているのでしょうか。また、教育委員は、卒業式、体育大会、つばき学級、院内学級など、どの程度教育の現場に足を運ばれて情報収集に努めておられるか、お答えください。
教育総務部長(濱田俊文) 先ほどの御答弁で、教育委員会会議の開催状況についてはお答えをさせていただいたところでございますが、当然先ほど申し上げましたように、卒業式あるいは体育祭等、公式の行事等々に参加をされておられます。また、情報公開等につきましては、現在ホームページの更新も検討しておりますが、そういった形での情報公開を今やっておるところでございます。全ての教育現場に出向き、いろいろ隅々まで現場を見る必要があるのではないかというお尋ねでございますが、全ての教育委員が全ての教育現場に出向くのは、なかなか現状難しいところがございます。が、折に触れて学校現場やいろんな行事に参加して、児童生徒の状況の把握に努めてまいりたいと思います。
また、今後とも可能な限り教育現場に出向く機会を多くつくりながら、児童生徒と接する機会をふやしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
岡崎源太朗議員 公式行事参加だけでは子どもの様子はわかりません。参観日や中学生議会や祭り警戒も、ぜひ視察してください。授業を参観いたしますと、LD、ADHDなど障害を持った児童生徒の様子もわかります。ゲームセンター立入調査をしますと、制服のままゲームセンターに出入りする子も発見いたします。不登校児は人目を避けながら登校いたします。つばき学級が総監部前にあったときは、駅前から人目に触れずに登校できました。でも、今はまちの中心に移転をいたしました。つらい思いをしながら今登校しておられます。院内学級では、クリスマス、年末年始を病院で迎えることになります。年末のお楽しみ会では担当の先生しか見かけません。点滴チューブをつけたままゲームをする姿は痛々しいほどです。体は病気でも、心が元気であってほしいと思います。これ、福祉施設になりますが、養護施設では、親から虐待を受けるDVの子どもも見かけます。どんな極悪人であっても、親は普通味方になりますが、守ってくれるはずの親から虐待を受ける子どもは誰を頼ればよいのでしょうか。自傷行為をした切り傷のある左手を見ると、本当に涙が出てまいります。責任者である教育委員は、呉市内にある全ての施設をごらんになっていただいて、時間の限り職員と話して、主役である子どもと会話し、子どもの声なき叫びを聞いていただきたいと思います。
次に、県教委との役割分担について質問いたします。
教育人件費の一部を国が負担し、教員人事権は県が持っています。教員を管理する西部教育事務所もあります。呉市教育委員会は学校建設管理等をしています。学校建設管理なら、外部委託でもできます。呉市教育委員会の存在価値はどこにあるのでしょうか。人事採用について県から権利移譲できないものか、お尋ねします。
学校教育部長(工田隆) 市町の学校の県費負担の教職員の給与につきましては、その3分の2を県が、そして3分の1を国が負担しております。その負担を市が負うことは難しいと考えています。また、現在県費負担教職員の人事につきましては、市町の教育委員会の意向を十分踏まえて行われております。以上のことから、県から市へ人事権を移譲する必要性は今感じておりません。
以上でございます。
岡崎源太朗議員 人事権を持ちたいなら費用を負担しなさいというもっともな理屈でございました。以前、昭和南小学校に、同時期に2人の長期休養中の教員が配置されたことがあります。2人の教員の欠員で、学校は大変混乱いたしました。どうして分散しなかったのかと疑問に思いました。県と現場である市は、よく連携をとって人事をしていただきたいと要望いたします。
最後に、今後の委員の議会承認のために再度お尋ねしますが、1期で終わる方、4期目と長い方がおられますが、市長の教育委員の選任基準と、選任においての教育委員会制度の基本理念とされるレイマンコントロールを継続されるのかをお尋ねいたします。
総務企画部長(明岳周作) 教育委員には、教育行政全般にわたります重要事項の意思決定を行う職責がございます。先ほども御答弁申し上げましたとおり、教育委員には、人格、識見ともに高邁で、幅広い視野を持った人材が必要であると考えております。その選任に当たりましては、今後とも教育の専門家だけでなく、幅広い分野、各界各層から有用な人材を選任し、議会にお諮りしたいと考えております。
以上でございます。
岡崎源太朗議員 あとは要望になりますが、国の方針はレイマンコントロールですが、大阪府のように教育の専門家を配置することも、ぜひお考えください。専門の教育に関しては、市長と教育委員が意見で対立することがあってもいいのではないかと思います。議員と激論し、反問権を使って逆に議員に質問するぐらいがあってもいいのではないかと思います。また、公式行事だけでなく、参観日や一斉パトロールにも参加して、児童生徒と接する、会話する機会をふやしてください。主役である子どもの気持ちをわかっていただきたいと思います。教育委員は非常勤なので、机と部屋が教育委員会内にはありません。社長の机がない会社があるでしょうか。責任者であれば机があって、その上には教育新聞、不登校新聞、各学校通信、各PTAだよりが置いてあり、戸棚には自分が許可した小中高で使う全ての教科書、副教材と、最低限でもかなりの量になります。基本的に部屋と机は必要と思います。部屋と机を配置し、せめて週1回は顔を出していただくよう環境の改善を要望いたします。