森林




令和7年12月一般質問
呉市の森林の現状について    農林水産課
(1)呉市の森林の現状と豊かな山の育成

【質問】木材は建築材料としては1000年もつ優れた材料です。樹齢300年の木で家を建てると300年もつとも言われています。強度の主要成分がリグニンという天然高分子で高い強度と耐熱性が注目されています。天然の高分子なので微生物に分解されにくい特徴があります。法隆寺五重塔は1,300年の木造建築です。建築基本法を制定して木造建築を広めることは日本の役割かもしれません。
 しかし木材としての主要な材料である針葉樹は実がならなく、樹皮は苦くて食べられないので動物が生息できません。猪鹿熊が人里に降りてくるのは針葉樹が原因です。落葉しても殺菌作用があるので、腐葉土になりません。針葉樹の高い樹木は日光を遮るのでシダ類や他の植物が育ちません。山が死にます。山から栄養が流れないので、海の魚が減少しています。
 呉市に林業者がおられないのであれば、木材資源としての針葉樹林の一部は伐採し、広葉樹混在の元の自然な山に戻すべきと思います。ここでおたずねします

質問 呉市の森林の現状はいかがでしょうか、針葉樹と広葉樹が混在する豊かな山育成について取り組まれおられるでしょうか。

【答弁】呉市の森林の現状と,豊かな山の育成について,お答えいたします。
 まず,呉市の森林の現状でございますが,広島県の調査によると,呉市の森林面積は約19,000ヘクタールで,そのうち民間の植林した人工林の針葉樹の面積は約1,000ヘクタールあり,市全体の森林面積の約5%を占めております。
 森林には,木材などの生産や,山崩れなどを防ぐ国土の保全,水資源を蓄える,地球温暖化の防止等の多面的機能を有しておりますが,植林した人工林を適切に管理しなければ,本来の機能が十分に発揮されない状況となります。
 そうした中,呉市では,国の「森林環境譲与税」を活用し,所有者が今後とも管理する意思の無い,人里に近い人工林を,市が所有者に代わって間伐等を行うことで,森の中に光を入れて,下草と広葉樹を育て,針葉樹と広葉樹が混在する健全な森に誘導し,土砂流出防止などを高める取組をしています。
令和2年度から令和6年度までの実績といたしましては,安浦と郷原地区で約16ヘクタールの森林整備を行っております。

(2)広葉樹の植樹

【質問】針葉樹の間伐をしていただいていますが、森林の間伐だけでなく、国の森林環境譲与税を拡大活用して広葉樹の植林はできないでしょうか。

【答弁】森林環境譲与税を活用した広葉樹の植樹について,お答えいたします。
 広葉樹につきましては,人里に近い場所に植えると,ドングリなどの実がなり,イノシシやシカを人里へ引き寄せてしまう可能性があるため,配慮が必要です。
 呉市では,土砂災害から人家や道路・農地などを守るため,森林環境譲与税を活用して,人里に近い人工林の間伐に加え,平成30年7月豪雨災害の被災地周辺の森林や,インフラに隣接する森林の整備にも取り組んでおります。
 平成30年7月豪雨災害で,土砂崩れのあった野呂川沿いの農地に近い森林の復旧では,痩せた土地でも深く根が広がり,土壌をしっかり固定する松を植えて,土砂の浸食を防ぎ斜面の安定化を図ることとしています。
 引き続き,森林の多面的機能が発揮される豊かな森づくりに取り組んでまいります。

【提案】全国の森林の4割が針葉樹とのデータがあります。
 このたび呉市で針葉樹を伐採し、広葉樹を植林することを提案しましたが、ご答弁のように奥山に手を付けず、里山の呉市だけが広葉樹と果樹を増やして豊かな山になると、猪鹿熊が奥山から呉市に降りて来ること、呼び寄せてしまうことが考えられます。
 奥山は針葉樹を伐採し、広葉樹と果樹を植林することで動物が住む元の豊かな山に戻し、里山の呉は花粉が少なく、防災に資する樹木を植樹する森林再生事業を他市と協力してお取組み下さいますことをお願い致します。

 昔から奥山には手を付けてはならないといわれてきました。奥山にまで金になる杉ヒノキを植えたことが山が荒れた原因です。ソーラーパネルや風力発電のために山を切り崩すと、土が流れて土地が死にます。深さ60cmの土を作るのに2万7千年かかるそうです。
 日本は多神教国家であり、木々や石にも神がいるとして、自然を大切にして共存して生活してきました。縄文時代には土地の精霊が逃げるとして水田耕作はしていませんでした。 他国では自然は克服するもの、挑戦するものとして山林を牧草地に、あるいは畑に変えてきました。そのために土壌がやせ、地球規模で砂漠化が進んでいます。後世に美しい地球を残すためには日本が自然と共生する仕組みを示さなくてはなりません。
 どうか呉市が自然と共生する世界の見本都市となる取り組みをされますよう老婆心ながらご提案申し上げます。